2012年03月28日

マルチャー(マルチ張り機)について

マルチャー(マルチ張り機)についてよく質問を頂く。

まずは当ブログの記事で検索してみて下さい。山ほど記述があるので何となくお分かりいただけるだろう。

「マルチャー」の検索記事

小規模で多品目栽培の場合,基本的にはテイラー牽引タイプ(アグリテクノ矢崎 MRX-1SA http://bit.ly/jj4bq9)をお勧めしている。

メリットは:
@狭い所,1本単位でも張りやすい。
A上手になれば,細かい操作が利くので展張の精度が高い。
A耕転を伴わずに張れるので用途が広がる。
Bロータリータイプに比べて早い。前進で張れる。
C初期投資が安い。

一方でデメリットは:
@牽引するテイラーとのバランス,延長車軸が必要など,情報が整理されておらず分かりづらい。機械屋もこの辺りの情報を持っていない。メーカー(アグリテクノ矢崎)も極めて不親切。
A作業に習熟を要する。曲がったり,進まなかったりしやすい。
Bトラックへの積み下ろしが危ない。

と言った点がある。

メリットとデメリットはコインの裏表である。たとえば,同じテイラーでも,こういうデカイ耕運機で引っ張れば,直進走行は安定し,けん引力も強いので真っすぐ張れるが,積み下ろしや操作性に難点がある。一方で私の使っているような馬力の小さい物を選ぶと操作性は向上するが,けん引力が弱いので土質や水分の状態で微調整を要する。

まとめると,

細かい作付けをするならテイラータイプがお勧めだが,使いこなすのが難しい。

ということである。つまり人を選ぶ。具体例を挙げれば,同じテイラータイプでも馬力の高い物にすればデメリットAと@の一部は解決する(=力で持って行く!)が,Bはより高まる。女性にはまず無理。それぞれのファクターはトレードオフの関係にあるのである。

私の場合長い事一人でやっていたので,「出来ないことは練習すりゃイイじゃん」と思ってきたのだが,いろいろなスタッフに手伝ってもらうようになって少し考えが変わってきた。「とっつきやすさ」と「安全性」は人に指示してやってもらう時には大きな要素だからである。非力な人や女性がテイラーを軽トラに積み下ろししているのはとても見ていられない。自分でも年に何回かひっかけたりするので,いつか必ず事故になる。機械が壊れるのも大変だが,怪我などされたら事業は終わりである。

という意味も含めて短期間しかいないアルバイトや研修生にテイラータイプを教えるのはなかなか大変。1年では使いこなせずに終わった人もいる。

ということで,最近佐野アタッチのトラクター牽引タイプを購入して使ってみている。まだ練習中だが,安全性・とっつきやすさは抜群で,シロートでもある程度は張れる。ただし細かい設定や部品の強度などに不満もある。「何でそこがそんなにチャチにつくってあるの?」って部分もあって。。やはりモノとしては矢崎製品の方が優れていると思う。ただし矢崎が出しているトラクタータイプは頑丈なので本体が重く,いろいろ不都合が生じるのである。やはりトレードオフなのだ。

2012-03-14 13.12.16.jpg

※マルチを噛んでる部分がチャチで多分いつか壊れる。あと中央部分のボルトの位置は設計ミスと思われ。締めにくすぎる。

もう一つ悩ましいのは,へたくそでもそれなりに張れちゃうこういう機械を最初に使ってしまうと,たぶん一定のレベル以上考えなくなってしまうという懸念である。私の場合,手引きのマルチャーを一人で引っ張ると言う無茶から始まって,一人でやらなきゃいけないという制約で苦労もした分,多くの勉強をした。だから今トラクタータイプを見れば,ある程度当たりを付けることが出来る。だが初心者がいきなりここに行ってしまうと,使いこなせずに終わる人も出るだろうな,と。まぁこれは仕方ない事なのかもしれないが。だからっつって5年も6年もつまらん遠回りするのもねぇ。


これは実は大事な問題で,事業を展開していきたいなら,高度な技能を要する技術は必ずしもうまく機能しないという事だ。技術としてのスマートさを捨ててでも,誰にでもできる全体の組み立て方までをパッケージにした技術でないと広がらない。吉野家が具を盛る手の角度までマニュアル化しているというあの話と同じである。



推敲していないのでこの記事は変更の可能性あり。

追記1:佐野アタッチの物は価格的には結構安い。テイラータイプと比較した場合,テイラー本体もこれから入手するなら変わらないくらい。ただし取り付け可能なロータリーを持っている必要がある。メーカー純正ロータリーが望ましい。
追記2:想像していたよりずっと軽い。男性なら持ち上げて設置可能。女性でも,部品をバラせば問題ない。付けたままの走行ももちろん可能だが,ガチャガチャ言って嫌なので,現場に運んでおいて設置が気を使わない。
追記3:同じ物を使っている人が「真っすぐ張れない」と言っていたが,ちゃんと段取りしていないからではないか? テイラータイプ並みにきっちり段取りすればビシっと張れる。
posted by かぜだより at 06:24| Comment(6) | TrackBack(0) | 畑情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
久しぶりに拝見しましたが、いつもながら、立て板に水の解説で、後進への愛を感じました。
ちなみにうち(夫)は、その佐野アタッチメントを、高うね成形機としてのみ、使用しております。わけを話すと長くなるので…
Posted by とびら at 2012年03月29日 07:36
あ、いやちょっとマルチャーについての見解が異なっていたもので。
管理機型の牽引式とロータリー式についてなのですが、ロータリー式の方が小規模多品目生産にむいているのでは。
その理由として
@牽引式の場合、マルチ展開前に施肥と共に展開後の播種、植え付けに備えたトラクター耕耘が必要。
Aトラクター耕耘後速やかにマルチ展開の必要がある。

スピードは絶対的に牽引式が早いので、マルチ展開する面積が大きくなればなるほど効率が良くなるのだろうなと。
一方ロータリー式は、
@展開前の施肥、展開直前のトラクター耕耘が必要ではない。つまりちょっとした空き時間にマルチ引く場所にのみ肥料撒いて展張作業ができる。
A施肥量がウネごとに自由自在。例えば果菜やとうもろこし等と枝豆や大根のマルチを隣合せに引く場合でも展開前に肥料分の調節が可能。
B施肥量がマルチ下のみでOKなので3〜5割ほど減る。

ただ作業速度は遅いので、面積が大きくなると効率が悪くなる。

牽引式は平畝のみ、ロータリー式は平〜平高〜高畝用なので、圃場条件も重要ですよね。
Posted by まんぷく at 2012年03月29日 22:17
あ、小規模といっても規模が違いすぎるのかも・・・
Posted by まんぷく at 2012年03月29日 22:20
>とびらさん

高畦成型機としても使えますよね。理由はまたお聞かせ下さい。

>まんぷくさん

なるほど。勉強になります。

牽引式のデメリットAは確かにあります。ある程度きれいにしておいて,ロータリー耕同時マルチ展張がこれまで未体験ゾーンだったので,トラクタータイプを使いなれてくると段取りその物が変わってくると思います。

高畝も重要ですね。ウチの場合は,平畝では支障がある時だけ高畝,なので今までほとんどやりませんでした。機械があるなら今年はきゅうりなど試してみようかと。

おっしゃる通り圃場条件や面積,持っている機械の組み合わせなどで最適解は変わってきますね。僕の場合は場当たり的に買った機械に合わせて面積を広げたり,無駄に肥料を撒いたりしていると思います。拡大して粗放的にする方向で解決していると言うか。。太陽熱の大量処理はその最たるものです。

トラクターでも結構1本単位できっちり張れそうなので(まくらの問題はありますが),今年はいろいろ試してみます。





Posted by ひさまつ at 2012年03月30日 06:24
買っちゃいました。
試運転は昨日。感想は、
1.圧倒的に速い!
2.まっすぐピンと張りやすい。
3.一人でふつうに張れる。
けど、まだわからないのは、セッティングと土壌条件。(矢崎のこの商品には何にも使い方マニュアルがないのには唖然とした)。
すその幅、土切り、ローラーの間隔。少し平高にしたいのですそを広く取ったら、マルチの縁がかえって土がうまく乗らない。3者の関係は固定なのか? マルチの幅で畝幅も確定してしまう? 風が強いのですそにはしっかり土を乗せたいんですが。(いろいろ実験してみればいいんですが、また雨)
土壌条件も砂近くまで乾かしてほぐさないといけない?
Posted by yamakawa at 2012年05月01日 07:48
できました! 平高畝。
わかったのは、
1.土壌条件はかなりさらさらにしないといけない。
2.ハンドルで強く抑えながら進まないといけない(前進で張る場合[後進ではたぶん無理っぽい])。(ので、力と体重がない人には難しい)。
3.マルチの幅で畝幅は決まってしまう。(平高の場合は平畝幅の15cmマイナスくらい)。
なるほど、人と天候と畑の設計や段取りを選びますね。これは、早めに準備して条件が整ったら一気呵成に張ってしまう、そういう機械ですね。
今から残り張ってしまおう!
Posted by yamakawa at 2012年05月06日 07:22
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