2012年01月05日

誰に対して何を届けるのか? 商品と商圏

質の高い野菜をつくりたい,という熱い思いは農業をする上で最も大事なことだ。しかしそれを買って食べて下さる方がいなければ仕事は成り立たない。作り手がどれだけ「これがいいんだ!」と叫んでも,食べる人がそこに価値を見出さなければ思いは届かない。消費者教育とか言っちゃう生産者もいるが,ちょっと違和感がある言葉だ。「モノがいいかどうかを決めるのはお客さん」だと僕は思っている。

先日何気なく見たカンブリア宮殿でTSUTAYAの増田社長が「自分の商品と商圏を掘りあてろ」という話をしていた。非常に重要な考え方だと思う。

マーケティングという言葉を使うと「売らんかな」が先だと思われがち。金もうけ主義とか何とか批判されやすい。しかし,モノに惚れ込んでいるからこそ,誰に対してどういう形で支持を訴えていくかに一定の思想がなければそれは成立しない。

商圏という言葉は通常地理的なエリアを議論する上で使われるが,もっと広い概念で考えると分かりやすい。お客さんの住んでいる場所・好み・所得などの特性はすべて「エリア」として考えることが出来る。数学的に言えばこのエリアは,お客さんを規定する要素がn個あればn次元の多面体で表すことができる。さらに,その要素一つ一つが時と共に変化していく。たとえば家族構成が変わっていけば,自ずと消費する量も中身も変化するだろう。上のn次元の空間に時間軸を加えれば,その多面体は形を変えながら伸縮するという事だ。(全然わかりやすくないって?(^_^;))

翻って自分を見れば,つくづくいいお客さんに支えていただいているなーと思う。がんばって階段を一段ずつ上がっているつもりでも,お客さんは常に先を行っている。いつまでも楽にならないつらさはあるが,低いレベルでチヤホヤされるより余程やりがいがある。

値段が高い安いという議論は売る方も買う方にもいつもホットな話だが,まずは誰に対して何を届けていくのかを意識的に考えないと,お客さんが見えなくなってしまう。継続的にいい農業がしたいのならば,畑を見ているだけではダメなのだ。





posted by かぜだより at 07:34| Comment(4) | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
商圏が立体的に変化、か。よくわかる話ですが、どこまで考えていいのか途方に暮れる話です。継続的によい農業を続けるには、マーケティングも含めた営業面が差をつけると思ってますが、こちらも畑並みに答えがない…。だから面白いんですけど。
ちなみに、モノ60%、営業30%、事務10%くらいの比重で大事かなと思ってます。モノさえ沢山つくれば食っていけるという体制に甘えているからかも。営業って簡単、とも思っていますが、モノがあってこそと思ってます。
Posted by うちやま at 2012年01月05日 08:20
うちやまさんコメントありがとうございます。本々FBで内山さんが仕掛けた話題ですので(笑)。

継いだ時点でモノがある後継者に比べて,新規就農者はモノをつくるところから始めます。売り方に気持ちが割けるようになるのに随分時間がかかりました!

6:3:1とかの割合をピシッと決めるのは難しいですが,あっちを考えこっちを考え,今ある資源を生かして全方位に進んで行きたいという感じでしょうか。

今年は社内外で人の力を借りていきますので負けませんよー(笑)。



Posted by かぜだより at 2012年01月05日 08:32
「モノがいいかどうかを決めるのはお客さん」というのに激しく同意です。

自分の売りたいモノが、お客さんの買いたいモノと同じとは限りません。であれば、自分の売りたいモノを買いたいと思ってくれる人とつながれる(接することができる)チャンネルをいかに増やしていくかということが重要になってくるように思います。

それ以前に農業で生活していくということを前提にするならば、こういう人がどのくらいいるのかということを先に考えなきゃマズイのかもしれませんけど。
Posted by カナモリ at 2012年01月06日 00:08
カナモリさん

こういうニッチ市場は,自分でお客さんを探すのが面白さでしょうね。
Posted by かぜだより at 2012年01月06日 18:09
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